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Title: 2021
2021.07.24 雲が変わり、風が変わって、日々がじんわりと夏に包まれ始めた頃。 こんなに心の踊らない夏はないなんてことを考えていた。 様々な思惑や、想いや、それぞれの視点からの正義に辟易として、 自分の足元がおぼついて、どこに寄りかかり、どこに手をついていいかもわからなくなるような感覚の中で、色々なものから耳をふさぎ、目を閉じたくなったりもする。 なにを信じ、なにを伝え、どのように振舞うべきか考えあぐねればあぐねるほどに、 皮肉を込めて「信じる」ということの本質を突きつけられるような気持ちになる。 人間は何百年も変わらずに、振り上げた正義、信じて疑わぬ側面、 自分自身の深度から見える世界を頑なに守ろうとして、 様々な歪を生み続けてきた。 その歪を生み出す原因が何なのかといえば、 人間のつくりあげるものに、完璧なものなんて一つもないのに、 正解は自分の信じる完璧という幻想の通りであるべきだと信じて疑わない心なのかもしれない。 だから初めから人に、期待しなければいいということではなく、理想を言えば、人間同士、すべての人たちが深いところではつながり、まったく同じ立場にあるという認識を、頭の片隅に置いておくことなのかもしれないなんて思いながら、日々心はジェットコースターのように上下左右に揺さぶられ、遠心力でほおりだされそうになるのだけどね。 ただ、コースターが大きな坂を静かにのぼり、これから大きく落下してしこうとする前の一瞬に見える入道雲に無条件に心が躍り、すべてのもちゃもちゃが、全部暑さの中に溶けていくような感覚を思い出して、とにかくこの今を、自分の心が喜ぶことを大切にし、心が悲しむことを避けていこうと、シンプルに着地したような気にもなるのだ。 |
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