Title: ちょけ。
2018.01.17

気張らず、威張らず、意地張らず。

全身をまるっと脱力したときにはじめてでてくる、

その人自身みたいなものがあって。

その、なんの主張も五感で発してないときの自分自身、

ただそこにいるだけの自分の中からでてくるもので、

なにかを十分に伝えられるようにありたいと思うのだけど、

気づけばいつもそこに、気張りのような、意固地のような防衛線のようなものが張られていて、

言葉を駆使しようと、身振り手振りや、身なりで何かを語ろうとして、

それが必然であるかのように振る舞って、

そこで積み上げてきたものの損得と、評価を大事に抱えてしまうのだけど、

それをせっせとくみ出して、ほかして、

干からびさせたいと、

また力むのだ。





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Title: 向合。
2018.01.17

身体の不調をよくよく案ずるに、ただただ「今、ここ」を確認させられる。

痛みや不快感には理由があるし、その原因を生み出すものはきっと目に見える理由だけじゃなく、複雑にいろいろな理由が絡み合って一つの症状になるのだろう。

この世のほとんどのことはその理屈で片付けられるし、その絡み合ったものを紐解く方法も、きっと同じ方法にいきつくのだろう。

人間をつくったのはだれだかしらないが、本当に深く深く、その一つ一つの症状や、感情や、五感や、その原因や、そういうものの一つ一つになにかのメッセージが込められているのではないかという気にすらなる。

そのメッセージを読み解いていくと、きっと皮肉とウェットに富んだ答えになるんだ。

その答えに気づいたときに、自然とほほが緩むような、おちゃめな答えなんだきっと。

絶望と希望は実は親類なんだよとか。

喜びは苦しみの生みの親なんだよとか。

死ぬっていうのは生きてるっていう何よりの証拠なんだよとか。

あの日のこの思いがあるから、今のこの日があるんだよとか。

幾重にもはられた伏線を回収しながら、一つ一つ全貌が明らかになって、

明らかになってみればなんてことない子供じみた仕掛けの上で踊っていたのだなってね。






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Title: ばく。
2018.01.05

ぶかぶかでも、きつくもない服。

背伸びもせず、遜りもしない声。

大きくも小さくもない言葉。

優しくも厳しくもない眼。

そっちでもこっちでもない速さ。

苦しい時に笑うわけでもなく。
うれしい時に泣くわけでもなく。

晴れの日に雨宿りをして、
雨の日に走り出すわけでもない。

それでもきっとこれからも春の風に吹かれて鼻歌を歌い。

冬の寒さに歯を打ち鳴らしたりもするし、

音や、匂いや、夜風や、真っ暗な湯船に心地よく酔い、

ひだまりや、胸の奥底からわいてくるじんわりとしたぬくもりや、

夏の夕立に絶望的な気持ちになったりもするのだと思う。

でもその一つ一つの感覚に決して意味を見つけず、

理由を探さず、

捕まえようとせず、

気化するその瞬間まで目をそらさずにいようなんて思わずに、

思い出したかのように、

ポケットの中の飴玉を口の中にほりこんで、

くしゃみのひとつでもして、

鼻をすすってすすもう。






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Title: たん。
2018.01.05

冬の空気は輪郭を際立させる。

音や、匂いや、色、切れた唇の痛みや、たばこの煙、触れた手の冷たさ。

その一つ一つの感触を確かめるように、白い息を吐いては、肺いっぱいに冷たい空気を流し込む。

その色鮮やかな感触は、記憶の中の境界を曖昧にする。

ランドセル背負って霜柱を踏みしめていた通学路。

夜間学習の帰り道。

かじかむ手で握るバイクのアクセル。

あの朝、あの夜、あの日のあの言葉。

そのすべての感触が今のこの瞬間とつながっていて、記憶も思い出も、点ではなくて、一つの線の上にあるのだと。

ぽっかり浮かぶ月の下で、もう一度白い息を吐いた。

その白い息のどこまでが吐息で、どこまでがたばこの煙なのか、考えようとしたけど、それはもうどちらでもいい。

吐息と煙の境界は曖昧でも、そこにある白い呼吸の輪郭がはっきりとしていればそれはもう線の上。

きっとそういうことなんだ。

なにもかも。








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