Title: 生楽。

生活を楽しむということはとても大切な事なのではないかと感じている。そこでの楽しみは、人生における彩りであり、幅でもあり、余力でもあり、地力でもあるのだと思う。

生活と楽しみを切り離して考えるのではなく、生活自体を楽しむという姿勢は簡単なようでとても難しくセンスの試されることだと思う。こと現代においては、ただ時間を過ごすということ、時間をつぶすということが難しい事ではない、テレビを眺めてればいいし、スマホをいじっていればいい、ゲームをしていればいい、そうやって1日の中の何時間を簡単に消費することが出来るし、それはとても合理的でメリットもたくさんある。それに対して昔の人は合理的に時間をつぶす術が今よりも極端に少なかったっからこそ、いまよりもずっといかにして時間を過ごすかということを考えるのに時間を費やしてきたのかもしれない。

その中で、ただ単に時間を消耗するのではなく、時間そのものを楽しみに変えることで、時間という概念を、「つぶすもの」「消費するもの」から、一つ価値を押し上げたのだと思う。それができるのが日本人の独自性、素晴らしい民族性なのだと思う。こういう意識のコンバージョンができたからこそ、「風流」や「わびさび」なんていう概念が出来たのではないかと思う。

「時間をつぶす」「消費する」ときに、それを方法論で解決するか、抜本的なコンバージョンをするかということはとても大事な事で、これは仏教における意識の変革にも似ている。

でも言いたいのはそんな難しい話ではなくて、生活自体を楽しめるという心持ちは、とても大事な事で、その心持ちを維持すると言うことは心の安穏にもすごく結びついていて、ありのままをありのまま受け止めるという仏教的な心持ちにも通じていて、現代においてはそれが著しく薄れているのだと感じるわけです。

部屋に風鈴一つぶらさげて、風の通り道を捜したり、その音に、目には見えないはずの夏を捕まえるという作業するだけで、なにかくさくさした気持ちが晴れるということもあるよということがいいたいわけです。そしてそういう感性をいつも生活の中にぶらさげておけるくらいの余裕をもっていたいなと。


POSTED @ 2013.08.18 | Comment (0) | Trackback (0)

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