Title: おばけやしき。

たかがおばけやしきだと言われるかも知れないけど、されどおばけやしきなのだ。

先週園で期間限定で2日間だけ、特設おばけやしきができることになった。なぜかちょっとお手伝いのつもりが、がっつりとど真ん中でやることになってしまって、夏休みの数日間をおばけやしき作りに費やしたのだけど。

このおばけやしき作りで、想像以上にいろんなことを学んだし、子どもの持っている可能性や、それを育むと言うことがどういうことかということを再認識させられたような気がする。

まずおばけやしきを作るときに、怖さの難易度の話し合いが行われたのだけど、多くの先生達は、子どもたちがその部屋に入れなくなったり、トラウマになったらこまるから、そんなに怖くしなくてもいいんじゃないかという意見が大半だった。

そりゃ3,4,5歳の子ども相手なのだし、ある程度の配慮は必要だとは思うのだけど、怖くないおばけやしきならやる必要はないと思っていたので、難易度のさじ加減は自分にまかせてくれということで、全面的に引き受けて、悩みに悩んでおばけやしきをつくりあげた。

案の定子どもたちも、おばけやしきの噂を聞きつけて偵察にきたりしながらも、どうせ怖いって言うか楽しいくらいなんでしょ、どうせ先生達が中にいるんでしょなんてなまいきなことを言っていたので、俄然やる気がでてきてついつい力を入れてしまった感があり、正直当日までやりすぎたかなとか・・・親から苦情来ないかなとか、どきどきしていたのだけど、そこは腹をくくってオープン。

当日おばけやしきの前には長蛇の列ができて、次から次に挑戦者があらわれるのだけど、オープンして1時間しても最後までクリアした子どもが一人もでず、部屋にすら入れない子も続出で、やはり難易度を下げるべきかと思った矢先、おばけやしきの入り口で一人じっと暗闇を見据えていた男の子が、おもむろに暗闇に向かって歩き始めたのだ。

お調子者で、クラスのムードメーカーで、それに加えて女の子にも優しいというなかなかよくできた男の子なのだけど、その子がじりじりとおばけやしきを進み始めたのだ。

正直、大人でも先頭ではいるのはちょっと勇気がいるくらいの暗闇だっただけに、その勇気には本当に感動した。1つ1つびっくりポイントを通過して、ついに最後までクリアしたのだ。

たった一人で。

暗闇を見据えて、覚悟を決めた瞬間のあの顔、怖いのを我慢して勇気を振り絞ってじりじりと暗闇を進んでいる姿、本当に親にみせてあげたかった。

そしてクリアしたその子は、大声でよっしゃ~!と叫びながら教室に走っていき、ヒーロになった。

あの時の誇らしげな、やりとげたような顔は本当にキラキラしてて、本当にかっこよかった。

そしておばけやしきはここから面白くなってきたのだ。

その男の子が、女の子達や、周りの友達に、すごいすごいともてはやされているのを目の当たりにしていた、男子数人が、おれだっていけるぜと言わんばかりに、押し寄せてきたのだ。

女の子を引き連れて。

それでも入り口で、先頭を譲り合い、しまいには、おいあいへしあいもめはじめる始末。口だけは、おばけなんかいないよと言いながら腰が引けている子、女の子の手前、おずおずとはいるのだけど、結局はしって逃げ出した子、大声で歌を歌いながらはいったまではいいけど、歩き始めて数秒で蚊の鳴くような声になってしまいには泣き出した子。

そんな中でも、おれがいるから大丈夫といって、弟の手を取って果敢に挑戦する子がいたり、弟がお姉ちゃんをひっぱっていたり、入り口でおばけを追い出すための儀式?的なものをはじめる集団があらわれたり。女の子同士、はげましあいながら最後までクリアする子達もではじめたのだ。

本当に大人の想像を超えたドラマみたいなのがたくさんあって、その想像力とか、小さな身体の中に秘めた可能性みたいなものにぐっとさせられっぱなしだった。

そして初日は挑戦者100名近くで、クリアしたのは10人。半分までクリアできたのも数名。その大半は入り口もしくは、部屋にすら入れなくて断念したのだ。

初日この結果を見て、次の日から難易度を落とそうという話になったのだけど、自分の中でこのラインは絶妙だったと確信したので、そのままの難易度で次の日も開くことにした。

自分の中では、もちろんクリアして自信をもつことも大事だけど、クリアすることだけ目標じゃなくて、怖さを体験して、そこに立ち向かおうと勇気を振り絞ることや、怖くて立ち向かえなかったり、クリアできなかったとしても、そういう自分をしっかりと受け止めると言うことも大事な事だと思うし、この経験においてはプロセスを通して自分をしっかりとみつめてほしかった。

それとこれが過半数がクリアできる難易度であれば、できない子が少数派になってしまうのでそのライン崩したくなかったというのもある。そしてそのラインなのかでみんなが何を感じて、どう影響するかを見たかった。

そして次の日、初日にもまして子どもたちには驚かされることになったのだけど。

朝子どもを送ってきたお母さん達が、口々に昨日家に帰ってきてずっとおばけやしきの話をしていました、クリアできなかったのが悔しかったようです、でも怖くて勇気が出ないと話してくれましたといって声をかけてきてくれた人が何人かいた。

そしておばけやしきオープンの時間にはまた長蛇の列ができた。

するとどうもみんな昨日と様子が違うのだ。

一晩家で考えて、今日こそクリアするという決意と強い思いできているのだ。明らかに昨日とは全然違う顔で、おばけやしきに望んできているのだ。

それでもやはり入り口で少したじろぐのだけど、それでも昨日の二の舞はごめんだといわんばかりに、お互いを鼓舞し合い、次から次へと暗いトンネルにはいっていく。

これには正直驚いた。一体一晩でこの子達のなかに何がわいたのだろうか、たかがおばけやしきと思っているのは大人ばかりで、子どもたちはこのおばけやしきに望むと言うことに、顔が変わるくらい真剣に向き合っていると同時に、子どもにも子どもなりのプライドというものがあるのだということを思い知らされたような気がした。

中には初日にクリアした子どもたちと一緒に、おばけやしきの対策の作戦を立ててきている子もいたり、中には後ろ向きで進めばこわくない作戦を編みだしてきて、クリアをした子どももいた。

本当に初日の経験をそれぞれが自分の中で処理をして、向き合って、自分の中で昇華させているのだ。素直にこういう場に立ちあえていることに感動したし、人間が成長していくということが今目の前にあって、それを目でみて、肌で感じることができているということにわくわくした。

この姿を本当にこの子たちの親に見せてあげたかったのだけど、でも親がいないからこそ、ここ一番でこうやって踏ん張って、こういう姿を見せてくれるのだよな。本当に子どもたちの秘めている可能性やのりしろというのは大人のそれを遙かに凌駕する。

そしてこの日のクリア人数は先日を大きく上回って30人を越えたのだ。

そして2日間をトータルすると挑戦者150名強でクリアすることができたのは、40名ほど。

クリア人数は少ないようだけど、クリアできた子もできなかった子も、朝から帰るまで、おばけやしきおばけやしき、外でも部屋でもおばけごっこに、口を開けばおばけなんてないさを歌ってるくらいだから、きっとそれなりに印象に残ったのだろうな。泥団子ブームに続きしばらくおばけブームがきそうな今日この頃。

たかがおばけやしきなんだけど、されどおばけやしきなのだ。

きっかけをつくったら、大人があれやこれや心配しなくても、子どもは自分でしっかり大きくなっていく、これからもたくさんのきっかけを作ってこういう場面に立ち会っていきたいし、なによりも今回の事で一番学ばされたのは他でもない自分であるような気がしている。

来年はもっと怖くしよう。むふ。



POSTED @ 2012.08.26 | Comment (2) | Trackback (0)

携帯変えたらすごく読みやすくなりました。初めてこちらのブログにコメントしてみます。大人になったいまでもお化け屋敷怖いのに、子供たち勇敢でしたね!キラキラした目で、家に帰ってお母さんお父さんに自慢するのでしょうね。ちなみにわたしは小学生の頃、日光江戸村のお化け屋敷で目が回りギブアップして引き返しました。いまだにお化け屋敷クリア出来ません。張りぼてのお化けもイキイキしたパワー(子供の計算などしていない無垢な力)には叶いませんねー。

Posted by: Jin @ 2012年8月26日 22:21

実を言うと自分もおばけやしききらい(笑)わざわざお金払ってはいる意味とかよくわかんない。

ちなみに今回のおばけ屋敷張りぼてだけじゃなくて、ホントに人がでてきたりもするんです(笑)それで何人か泣いちゃった。

Posted by: RYO @ 2012年8月26日 22:26

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