Title: Q
この時期の昼下がりの空気とか色とか匂いとか、そういうものが、時間の流れを緩やかにしているような錯覚を覚えることがある。
時間が、ねばっこく、なまあたたかくまとわりついたみたいに。
それがあまりにも心地よくて、その中にずっと包まれていたいのに、いつだってすぐに夜が来て、いつだってすぐに冬が来る。
365日の中で数日しかなくて、1日の中でわずかしかない時間。
なにかが変わりゆくほんの少しの間にだけある狭間みたいなところにしかない場所。
昔はそういう場所を見つけるのが今よりもすこし上手だったのだけど。
今は目を凝らしてないとすぐに見落としてしまう。
本当は見えているのに、それがなんでもないことのようにやりすごしたりもする。
夢とか希望とか、未来とか願いとか。
そういうものは時に目を曇らせる。
自分の分限や、限界や、世界や、社会や、そういうものにくぐもったフィルターをかける。
でもくぐもっているからこそただの雨粒はきらきらと輝いて、世界を彩ったりもする。
なにもかもがはっきりみえればいいわけじゃない。
でもなにもかもがぼやけていてもいいわけじゃない。
あの心地よい温度を探している時の自分は、いつもそういう逆説を抱えてるのだ。
POSTED @ 2012.11.20 |
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